結納は、二人の結婚の意志を公にして、両家の心を交わしあい結び納める儀式で、正式な婚約の成立を意味します。結納というと、結納金などお金を連想しがちですが、本来は今までに大切にお嬢さんを育てられた女性側のご両親に対する男性側の感謝と誠意の現れとして、数々の品を取り揃え、持参したものです。
起源は、1400年前の仁徳天皇の時代に、皇太子妃に対して贈り物をされたことによると言われています。 その後、小笠原家、伊勢家によって作法が整えられ、現在のような形になったのは室町時代とされています。
神聖な結婚を誓うために、健康や長寿、繁栄などの様々な願いを込めたお祝いの品々を男性側から女性側に贈るという、日本古来の心のこもった美しい伝統儀式です。
本人たちと双方の両親、仲人で話し合って決めますが、結婚式の六カ月~三カ月前くらいに日柄の良い大安・友引の午前中にとり行うのが一般的です。二人の結婚の意志が固まったら、なるべく早めに結納をされるとよいでしょう。
結納は自宅で受けることが多いですが、ホテルや結婚式場を利用する場合もあり、担当者が式進行の世話をしてくれるので仲人のいない結納でも安心です。
納品は昔は現物を持参したものですが、現在では水引細工をほどこした品々のセットになっています。結納品は、一生に一度のお祝いだから華やかなものをおすすめしますが、住宅事情や遠方へ持参する等を考慮して選びましょう。結納品は、相手の女性にだけ贈るものではなく、一生懸命育てられたご両親、ご家族への品も入っており、一品一品すべてに意味が込められています。
・熨斗(のし)
・寿栄広(すえひろ)
・御帯(おんおび)
・松魚(しょうぎょ)
・家内喜多留(やなぎだる)
そのほかの品目を増やす場合は、結美和(ゆびわ)、高砂(たかさご)、子生婦(こんぶ)、寿留女(するめ)を七品目、九品目としていきます。
アワビの肉を延ばしたもの。不老長寿を意味し、昔からおめでたい儀式に添えられます。
熨斗は鶴の水引と共に添えられます。
鶴・・・・・千年の長寿を祝うと共に、他の鶴とは一緒にならない鶴の節操を夫婦になぞらえたもの。
挙式日から逆算するのではなく、二人の結婚の意志が固まったら、できるだけ早めに結納を。日柄は、女性の家の都合を最優先しますが、日柄の良い大安・友引の午前中に行います。
末広がりに慶びやめでたさを広げる意味から扇子一対を贈ります。夫婦ともに末永く、幸せにという願いが込められています。
亀・・・・・長寿万年共に急がず休まず末永く、幸せを築けますようにという願いが込められています。
日常、着物を身に着けていた時代では、帯は特別に大切な物であり、帯を結ぶと魂も結ばれると考えられ、結納品の中心でした。帯は女性の人格を、袴は男性の人格を象徴する特殊な存在とされてきたのです。
現在では、御帯料として、お金を包み、一般的に「結納金」と呼ばれるものと考えていいでしょう。御帯は、松の水引と共に贈られます。また、福山などの備後地方では、御帯のかわりに御小袖を差し上げ、茂久録にも御袖と書きます。
松・・・・・松の長寿とみどりのようにいつまでも変わらずに栄えるようにとの願いが込められています。
清酒を入れる柳の樽のこと。家の中に喜びごとが集まり、福多からんことを願いがこめられています。家内喜多留は、竹の水引と共に贈られます。
竹・・・・・まっすぐに質実剛健な竹の成長を例えたもの。
鯛の雌雄一対の事で、おめでたい儀式に用いられる代表的な魚。松魚は、梅の水引と共に贈られます。梅・・・・・春に先駆けて、最も早く花が咲き実を結ぶ梅の美しさと忍耐を祝います。
老夫婦の人形です。
白髪になるまで、いつまでも仲良く添いとげられるようにと、いう意味で贈られます。
昔からお祝いごとにはつきものの肴です。噛めば噛むほど味のあるお嫁さんになってほしいという意味もあるそうです。
「よろこぶ」に通じることから、お祝いごとには欠かせない食品です。文字には子宝に恵まれるように、という願いが込められています。